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(2)理学療法適応症の増加
西洋医学では、病気の原崩が細菌や有竜物などによる外由性の場合には、目覚ましい治療成蹟を挙げていますが、病気の原因が内観性の場合、つまり人体の内部環境の失調からくるもの−−神経痛、リウマチをはじめとする慢性病、ノイローゼ、あるいは半健康症侯群といわれる頭痛・肩こり・不眠症・便秘・手足の冷え−−などについては、はかばかしい治療成績を挙げていません。
理学療法は、漸進的、継続的な刺激による生体反応の促進と機能の調整は、従来の西洋医学にない内因性疾患に対して効果を発揮するもので、複雑な生活様式をもつ現代は内因性疾患が益々増加する傾向にあります。理学療法が脚光を洛びてきたのはこうした背異によるものです。
(3)科学の進歩と治療機器の開発
過去3世紀にわたり、科学の進歩とともに、その成果を治療面に生かす医療機器の開発が進んでまいりました。18世紀にはイタリアのガルバーニ(1737−98)がカエルの足が金属片に触れるたびに動くことに着目し、これが電気の力によるものであることを発見したのに続いて、同じくイタリアの生物学者ポルタ(1745−1827)が電池を発明しました。一方、フランスのジャラベールは電気刺激が筋収縮に有効に作用することを唱え、1780年には電気治療に関する本が出版させるに至りました。
ファラデー(1791−1867)は磁気と電気の閑係を解明しました。このような経過の中で電気、磁気、生体の相関関係が徐々に明らかになってきました。1840年になると、ゴールディングバードがロンドンで組織的な物理療法を開始し、19世紀になると電気を用いた治療範開が拡大され、1891年には高周波電流が治療に採用されましたが、1896年マルコーニ(1874−1937)が無線電信を発明するに及び益々この傾向に拍車をかけるようになりました。
1895年、W・コーランド・レントゲン博士(1845−1923)がX線を発見したのに続き1917年、フランスのランジュバン(1872−1946)によって超音波の治療効果が確認されまた、イギリスのアーサー・ティスデルはマグネトロンを完成して超短汲療法の第一歩を印しました。
以来、現在に至るまでエレクトロニクスの先端技術が次々に取り入れられて今日の医用電子工学の隆盛を見るに至り、理学療法機器への応用は益々活発になってきました。 2/3
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